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Title

日本緩和医療学会 - Japanese Society for Palliative Medicine

Description

 20世紀後半の生物学的医学の大いなる発展は、現代の保健医療の分野に多大な貢献を果たしてきた。ことにがん医療の領域においては、その基礎医学はもとより、臨床医学、すなわちがんの診断と治療の進歩はがん患者の治癒率と生存期間の延長を大幅に向上せしめた。そして現在もこの方面の努力は多くのがんの臨床や研究に携わる医療者により精力的になされている。しかしながら、これらの良好な成果を得てもなお多くのがん患者が全人的苦悩(total suffering)の中にあることもまた現実である。このような状況においてがんの臨床医学では治癒を目的とする思想に加え、最近では患者のクオリティ・オブ・ライフ(Quality of life, QOL)を尊重する思想が芽生え各方面の合意を得るところとなっている。

 翻ってこれらの思想の歴史を辿れば、1970年前後より世界に拡大したホスピス・ムーヴメント(hospice movement)にその端を発している。その後世界保健機関(WHO)がQOLの概念を軸としたこの領域の医療のあり様を普及させてきた。1989年にWHOが提唱した考え方は、がんの診断時から終末期に至る全過程にQOLを重視した医療であった。すなわち、Palliative Medicine(緩和医療)あるいはPalliative Care(緩和ケア)と呼ばれるこの医療は新しいパラダイム(paradigm 知的枠組)として現在、国際的にも広く承認されるに至っている。現在このパラダイムに沿って、さらにそれらが進化しながらPalliative Medicineはがん医療のひとつの専門的な分野を確立しつつある。一方世界的なホスピス・ムーヴメントに呼応して移入された日本におけるこの方面の活動は、「日本死の臨床研究会」に代表される社会運動として現在もさまざまな領域でその役割を十分に発揮している。しかしながら、医学の進歩に即応する専門性をもったPalliative Medicineについて言及すればその取り組みは十分とは言い難い。客観的にみれば「日本癌治療学会」の一部、そしてそれぞれの分野、たとえば「日本ペインクリニック学会」、「日本サイコオンコロジー学会」などで一側面が取り上げられているにすぎないのが現状である。

 そこで我々はがん医療を中心としたPalliative Medicineの専門性を確立するため、QOL尊重の医学のパラダイム 1. 生物学(Biology) 2. 精神・心理学(Psychiatry and Psychology) 3. 社会学(Sociology) 4. 哲学・倫理学(Philosophy and Ethics) 5. 看護学など関連領域、の各医学専門分野を包摂した学際的かつ学術的研究とその実践、その教育を行うための国際的にも評価されうる日本緩和医療学会の創設を決意するに至った。

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